ウル・ジャーミィ
そこで、第一弾として、代表的なモスク『ウル・ジャーミィ(Ulu Cami)』(訳して「大モスク」)を紹介することにします。
トルコ・アナトリアでのイスラム社会における最古のモスクです。歴史あります。
まず、パッと見た感じ、トルコに数多くある、その他のモスクとは様子が違います。
トルコのモスクといえば、大きなドーム屋根が真中にドーンとかぶさっているものを思い浮かべますが、あのタイプのモスクは、オスマン朝時代の建築様式です。イスタンブールなどでオスマン朝のモスクを見慣れた目には、珍しく映るでしょう。
それもそのはず、このモスクには面白い歴史があったんです。
639年に、イスラム軍がこの町を征服した際、それまで建っていたMar-Toma(聖トーマス)教会をモスクとして使用し始めました。
それまでのディヤルバクルの町は、ローマ帝国の一部だったので、住民はキリスト教徒だったわけですが、アラブ人が増えるに従ってイスラム教徒が増えていきます。住民のイスラム化が進みます。
従って、このモスクも時代と共に、モスクらしく建て替えられていったということです。
現在の建物は、11世紀、セルジューク朝時代のものらしいです。
そして、教会の鐘楼の上にはイスラムのミナレットが付け加えられています。これ、エンピツみたいで可愛いです。
大通りから、門をくぐって中に入ると、広い中庭になります。
この中庭をぐるりと回廊が囲っています。回廊の柱の装飾がとっても繊細で綺麗です。(写真ではよくわからないのが残念)
中庭の真中に、シャドゥルワンという清めの泉があります。その左手に礼拝堂。
この礼拝堂は、横にだだっ広いのが特徴です。内装はいたってシンプル、明かり取りの窓がある程度で、装飾は殆どなし。オスマン朝の豪華絢爛なモスクとは、まったく違った趣です。
建築材は黒い玄武岩でしょうか。ディヤルバクルの建築物は、この玄武岩がよく使われていますが、この土地らしい、どっしりと落ち着いた感じ、また時に威圧的な感じ、質実剛健という言葉がよく似合うモスクです。
なお、このウル・ジャーミィは、シリア・ダマスカスのウマイヤド・モスクによく似た形式であるらしいです。
by yokocan21 | 2006-02-17 06:33 | ディヤルバクル