エーイル(アッシリア城塞のある町)
ダンナが親しくしている方の出身地ということで、その方のご家族も一緒に案内して下さいました。
行き先は、ディヤルバクルより北へ約50km、エーイル(Eğil)という町。
その日は、新緑の眩しい、キラキラと太陽の照りつける行楽日和の日曜日でしたぁ~。
おっと、町のことを書く前に、いつものようにこの町の歴史をおさらい。
エーイルの町の歴史は、遥かメソポタミア文明にまで遡るそうです。
紀元前3500~1260年の間には、この地はスバル人、フルリ人、そしてミタンニ王国に支配されていました。
その後、紀元前13世紀後半にアッシリアに攻め込まれ、以後紀元前7世紀前半までの長い間、アッシリアの支配が続きました。
その後は、この地方お馴染みの、メディア王国、ペルシャ帝国、アレキサンダー大王、セレウコス朝、ローマ帝国、ビザンティン帝国と続き、7世紀半ばから8世紀半ばまではアルメニア王国の支配下、その後はアッバース朝、再びビザンティン帝国下となり、セルジューク朝やアクコユンル(白羊)朝などを経て、1515年以降はオスマン朝の支配下になります。
トルコの南東部地方は、目まぐるしく支配者が変わっていくので、なかなかついていけません(悲)。
また、エーイルは現在の名前であって、古代には「スパニ」と呼ばれ、ローマ帝国時代には「アルタギガルタ」、ビザンティン時代には「バシロン」、その後は「インギラ」と呼ばれていたそうです。
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では、エーイルの紹介です。
まず、この町のシンボル的存在、アッシリアの城塞(Asur Kalesi)。
町の横というか下を流れているティグリス川は、現在堰き止められていて、ダムになっています。
このダムの水の色が、何とも言えない綺麗な水色で、ターコイズ・ブルーというんでしょうか、鮮やかなんだけれど深くて澄んだ水色!
私のコンパクト・デジカメではここまでの色しか表現出来ないのが残念.....。光にキラキラ反射して、それは綺麗かったんですよ~~~。
ダムの谷底に辛うじて建っている、これは、アルメニア時代の見張り塔だそうです。
この地がアルメニアに支配されていたのは、7世紀半ばから8世紀半ばの間。
かなり歴史ある塔です。
遠くからだとよくわからないですので、ズーム。
ずんぐりとした形が、いかにもアルメニアらしいですね。
地元の人によると、あの塔の地下室には、おびただしい宝物が隠されているのだとか!
そして、塔から丘の上の城までは、延々と地下通路が通っているのだとか。
なにやら、ロマンを掻き立てられるお話。
では、先のアッシリアの城塞へ登ってみることに。
上の写真を撮った丘の上から、今度はダムをグルリと回って反対側の丘の上へ。
全く整備も何もされていない急な坂道を、転げ落ちないように気をつけながら(!)、あの岩山のてっぺんまで行き着くと、そこには、こぉんな変わった形をした城塞跡があるんです。↓
こちらは、↑の城塞跡を別角度から。↓
中央の、岩をくり貫かれたところには、アッシリア王の玉座がありました。
玉座といっても、ただの大きな岩なんですれど、眼下に見えるティグリス川のゆらゆらとした流れと、遠く果てしなく続く大地.....あの光景は、王様にとっては、戦略を練るのに絶好の場だったのかもしれません。
この城塞の中には、ローマまたはビザンティン時代の教会も残っているらしいです。
また、この城塞の岩には、アッシリアのレリーフが今も残っているんです。でも、高いところにあって、私にはよく見えなかったのです。えーん。
で、どんなのかといいますと、こちらです。→
(エーイル市のHPより拝借してきました)
王が手に何かを持っている姿ですよね。
小さくて、よくわからないですけれど、アッシリアの雰囲気はビシビシ感じます。
城塞のてっぺんから下を眺める。
当時の石垣の様子がよくわかります。
三方を谷に囲まれた好立地であるため、ここは難攻不落の城だったのでしょうね。
また、向かい側の丘の上(木の茂っているところ)には、イスラムの偉い人たちの霊廟がいくつかあります。
この城塞に来る前は、そちらにいたんですけれど、あまりにもの混雑ぶりにびっくりしました。週末ということもあって、ディヤルバクルからも大勢の礼拝者がいらしているようでした。
こちらは、城塞より眺めた現在のエーイルの町。
お昼は、町の郊外でバーベキュー(マンガル)をしましたよ~。
案内して下さったMさんの奥さんが、前日よりマリネした仔羊肉の串焼き(クズ・シシ=Kuzu sişi)が、とっても柔らかくって美味しかった~!あ、もちろん、かなーり辛かったのです。
子供達も大喜びで、パクパクかぶりついていました。(子供達用には唐辛子抜きのもの。でも、Mさんの一番上のお嬢ちゃんは辛いのも平気で食べてましたねぇ、さすがディヤルバクルっ子!)
途中、延々と広がる緑の大地。(走っている車から撮ったので、ブレブレ)
この冬から春にかけて、トルコの内陸部では雨が殆ど降らず、農作物に影響が出かけているというニュースをよく耳にします。けれども、この辺りはティグリス川があり、近くにダムもあるということで、小麦などの成長には今のところ影響はないということです。(ホッ!)
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by yokocan21 | 2008-05-06 20:34 | 旅・散歩