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ディヤルバクル様式の家・その1

旧市街、ウル・ジャァミーの横の路地を入って行ったところにある、「ジャーヒット・ストゥク・タランジュ博物館」。またの名を「文化博物館」です。(Cahit Sıtkı Tarancı Müzesi)
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アクコユンル時代(※注)の建築様式の流れを汲んだ、オスマン時代の建造物だそうです。何と、1733年の建造です(むっちゃ古いです)。後にタランジュ家のものになったようです。
トルコの有名な詩人ジャーヒット・ストゥク・タランジュ(1910年~1956年)の生家でもあります。
その後、1973年に国が買い取り、今の博物館になったということです。
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文化博物館ということで、当時の人々の生活をわかりやすく展示してあります。当時の女性の着ていた服や、台所用品、インテリアなど、この地方ならではのものもあります。
驚いたのが、部屋の火鉢のようなもので料理をしているところです。昔よく祖父が火鉢でおもちを焼いていたのを思い出してしまいました...関係ないですけど...。
そして、ジャーヒット・ストゥク・タランジュが生前使っていた物や本、直筆の手紙や写真などが展示された部屋もあります。


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木々が茂り、噴水のある広~い中庭をぐるっと囲むように建てられた邸宅は、全体に黒い玄武岩で作られていて、いたるところにジズ(ciz)とかケハル(kehal)と呼ばれる独特の白い装飾が施されています。
白いペンキで塗られているようにも見えるんですけれど、まさか。漆喰でしょうか。
この装飾には、さまざまな文様があって、それぞれに意味があるんだろうなぁなどと、その美しさに見とれていました。



大小合計14個もの部屋があって、台所や食物貯蔵庫・お風呂などもあります。現在残っているのは、ハーレム(女性用部屋)だけのようですけれど、何と、そこには素晴らしい工夫がされているんです。
家は、中庭をぐるりと四方を囲むように建てられています。そしてその各方角に合わせて、夏部屋(北側)・秋部屋(西側)・冬部屋(南側)・春部屋(東側)と分けられているんです。暑い夏は涼しく、厳しい冬は暖かくという、自然を上手く利用した効率的な生活ですよね。

建築材に使われている玄武岩も、30cmほどもある厚さで断熱効果もバッチリです。北側にある夏部屋は、さすがにひんやりとしていました。

現在のディヤルバクルでは、このような様式の邸宅は殆ど残っていません。残っていたとしても手入れが不十分で朽ちかけていたり、全く住めるような状態ではないものが殆どのようです。トルコが近代化していくにつれ、家屋も西洋式のアパートにどんどん変わっていったようです。
伝統的な家屋には、そこの土地土地にふさわしい工夫がいっぱい詰め込まれていると思うんです。(日本しかり、トルコもしかり)
それなのに、別の方向に向かっていってしまったことは、とっても残念です。

最近は、日本では伝統に帰ろうという動きがあちこちで出てきているようですね。古い伝統的な家屋を維持するのは、とっても大変なことだと思うんですけれど、頑張っている人達が少なからずいらっしゃる、ということは事実。いい傾向ですよね。
トルコでも、一部ではそういう動きがあるようですので、今後に期待したいです。

(※注) アクコユンル・・・・・14世紀後半から1508年にかけて、アナトリア東部からイラン西部にかけて支配したトルコ系のイスラム王朝。白羊朝。

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【おまけ】  この博物館の横の路地から、ふと後ろを振り返ると、ちょうどウル・ジャーミィのミナレット(尖塔)が見えました。先っちょが鉛筆みたいで可愛いんです♪(見えるでしょうか)


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by yokocan21 | 2006-10-13 05:33 | ディヤルバクル  

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