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フドゥレルレス(春の祭り)

えぇ.....、もう5日も前の話題でして、すっかり新鮮味もなくなったところ。でも、書いちゃいます。

Ahırkapı Hıdırellez Şenlikleri(アフルカプ・フドゥレルレス・シェンリクレリ)』というお祭りに行ってきました。
どんなお祭りかといいますと、いわゆる「春祭り」。トルコの春の訪れをお祝いする、お祭りなんです。
開催されている場所が、旧市街の〝Ahırkapı(アフルカプ)〟という所なので、こういう名前が付いています。
そして、〝Hıdırellez(フドゥレルレス)」〟とは、ゲリボル(Gelibolu)に住んでいた頃に馴染みのあった、春祭り。 (ちなみに、〝Şenlikler〟とは、「お祭り」という意味)

フドゥレルレスは、主に、トラキア地方やエーゲ海地方で馴染みのある春祭りで、新暦の5月6日に行われます。そして、その前日が賑やかなお祭りとなるもので、イスタンブルでは、このアフルカプのフドゥレルレスが特に有名です。

このフドゥレルレス(Hıdırellez)。ウンチクなど、面白い話もあるんですけれど、これは後で紹介するとしまして(↓ の《続き》)、まずは、5月5日のお祭りの様子から~。

このお祭り、アフルカプという場所柄、そこに昔から住んでいるロマ(ジプシー)の人達のお祭りという様相があります。
もう、かれこれ10年も続くお祭りなんです。例年はアフルカプ界隈の小径で開催されていたのですけれど、昨年より規模が拡大し、海岸沿いの公園で開催されるようになりました。

2000年~2004年にかけてイスタンブルに住んでいた時も、行ってみたかったお祭りなんですけれど、当時は子供が赤ちゃんで、そんなことは無理でした。でも、今年は、次の日の5/6が子供の学校の臨時休校というラッキーさもあって、イザ、家族で出掛けてきました。

夕方、会場に着いた時には、もう既にもの凄い人混み。会場のあちこちから、ロマの人達の奏でる音楽が聞こえてきて、いい感じ~。
フドゥレルレスならではの、色とりどりの短冊を結び付けた、こんな木もあります。
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フドゥレルレス(春の祭り)_f0058691_1944644.jpg木に、願い事を書いた短冊や布を結び付けると、願い事が叶うと言われています。


フドゥレルレス(春の祭り)_f0058691_1952966.jpgこのような願い事の短冊を結ぶ木のことを、〝ナフル(Nahıl)〟といいます。詳しくは、《続き》で書いています。


会場では、大小二つのステージがあり、イスタンブルをはじめトラキアからのロマのミュージシャンの演奏が始まっていました。
こちらは、アコーディオンのいるグループ。ちょっとバルカン半島っぽい音楽をやっていました。
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私が気に入ったのは、こちらのブラスバンド。これも、トルコというよりはバルカン半島辺りの音楽がかなり入っていて、ノリが良かったです。踊ってきましたよ~。
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こちらは、小さなグループ。いかにも的なロマのビートで、自然に体が動きます~。
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会場の混雑ぶり。広い会場には、アフルカプやスルタンアフメットのレストランが屋台を出しているんですけれど、どこも凄い混みようで、注文するのも大変でした。色々と美味しそうなものを写真に撮りたかったのに、人が多すぎて断念。
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ちょっと人混みをはずれたエリアにあった、〝マージュン(Macum)〟売り。
いわゆる練り飴です。これ、オスマン帝国時代からの伝統の飴なんですよ。(だからなのか、オジサンもオスマン朝のコスチューム) 色んな色の飴を順々にクルクル竹串に巻いていきます。最後に、輪切りにしたレモンの上で飴をちょんちょんっと。飴を固める役目なんでしょうか.....。
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フドゥレルレス(春の祭り)_f0058691_1993198.jpg夜空に映えるマージュン。
子供の大好物。


こちら、演奏しながら会場内を移動していたのミュージシャンのおじさん達。(濃いなぁ~)
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なんとなく、雰囲気、わかって頂けたでしょうか。
とにかく、人・人・人の、大混雑。その中で、ビールがぶ飲みして踊りまくる若者達。芝生に座り込んでビールで宴会やっている若者達。そう、圧倒的に若い人が多かったです。

どうも、フドゥレルレスのお祭りというよりは、ビール飲んでロマ音楽で踊ろう~♪的なミュージック・フェスティヴァルっぽかったです。以前のアフルカプの道端で行われていたお祭りのビデオを観て憧れていた私には、ちょっと異次元空間でした。
ま、規模が大きくなり、イスタンブル市も力を入れているお祭りとなると、地元色を打ち出していた頃のようにはいかなくなってしまったんでしょう。
少々ガッカリはしましたけれど、でも大好きなロマ音楽を聴けたことだし、踊れたことだし、それはそれで楽しかったです! うふふっ♪

・以前のアフルカプの道端で行われていた頃の様子は、こちらで観れます。



・今年の、『アフルカプ・フドゥレルレス・シェンリクレリ』のプロモ・ビデオはこちらで。
Hidrellez 2009 @ Yahoo! Video



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フドゥレルレス(Hıdırellez) について。

別名「Bahar Bayramı(バハル・バイラム)=春の祭り」と呼ばれる「フドゥレルレス」、実はかなり歴史の古いものなのだそう。古代メソポタミアやアナトリア文明にまで遡るのだとか、またトルコ人がイスラム改宗以前の中央アジアにいた頃からの土着信仰だとか、言われています。
毎年、新暦(グレゴリオ暦)の5月6日、フズル(Hızır)イリヤス(İlyas)という預言者が地上で出会うとされています。そのお祝いをしたのが、このお祭り。「フズル」と「イリヤス」という言葉がトルコ語的に融合して出来たのが、この「フドゥレルレス」という言葉なんだそうです。

伝説によると、フズルは、「生命の水」を飲んで不死の体を得、特に春には人々の間を歩き回り、困った人を助け、富と豊穣・健康をもたらす偉大な預言者なのです。また、綺麗な心を持つ人を好み、植物の豊穣・動物の繁殖・人々の繁栄をもたらします。そして、人々を幸運へと導く手助けをします。
縁や運を表すシンボルであり、また奇跡のシンボルでもあります。

昔から、フドゥレルレスの日に向けて、フズルを呼び込む用意をしてきました。
前日までに家を綺麗に掃除し、体を清め、食べ物や飲み物を用意します。(フズルは、綺麗でない場所には立ち寄らないからです) 当日は、新しい衣服や靴を身に着けます。
また、アナトリアの一部の地域では、願い事を叶えてもらうために、喜捨を施したり、断食をしたり、犠牲の動物を屠ったりという習慣もあるそうです。

フドゥレルレス前日の夜は、願い事を叶えてもらうために色々なことが行われます。
フズルが立ち寄り触った場所には豊かさや豊穣が宿ると信じられていますので、食べ物を入り口に置いたり、貯蔵庫の戸や財布の口を開けておきます。
家や畑、車などが欲しい人は、その欲しい物の模型を作って置いておくと、フズルが願い事の助けをしてくれるのだそうです。
願い事を書いた布や紙を、〝ナフル(Nahıl)〟という木に結びつけたり、海や川へ流したり、バラの木の枝に結び付けたりもします。
また、良い縁談を望む若い女性達は、緑の多い水辺の場所に集まり、自分の指輪やイヤリング・ブレスレットなどを水の入った土器に入れ、口をスカーフで縛り、バラの木の下に置いておきます。そして次の朝早くその土器の元へ行き、牛乳入りのコーヒーを飲んですぐに願い事を叶えるのだそうです。

そして、5月5日から6日に変わる夜12時、水辺や町の空き地や公園などでは、火が焚かれます。この焚かれた火の上を飛び越えると、無病息災、良縁にも恵まれ、幸福が訪れるとされています。

ところで、フドゥレルレスをお祝いするには、必ず、緑が多く木々が繁った水辺の場所を選びます。霊廟や聖者の埋葬された場所でも行われます。
そして、春の新鮮な植物や、新鮮な仔羊肉やレバーを食べたりという習慣もあるようです。その春最初の仔羊肉を食べると、健康になり病気が治るといわれているからなのです。
野原から花や草を摘んできて、それを煮た水を飲むと全ての病気に効くといわれ、その水で40日間体を洗うと、若く美しくなるともいわれています。

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と、古代からの伝統として続いているフドゥレルレスのお祝い。なんだか私たち日本人にも親しみが感じられるお祭りですよね。お正月やお盆を迎える時の神聖な感じが似ていたり、短冊を木に結びつけたり海や川に流したり、というのも、日本の伝統行事とそっくり。
昔から、人って健康や五穀豊穣を願い、幸せを祈っていたんですよね。お願いをする形の違いはあれど、その中の気持ちは皆同じですね~。
そして、春の訪れを祝う火。これって、東大寺二月堂の「お水取り」にも通じるものがあるようにも思います。それに、トルコでは東部地方で主に祝われている「ネヴルース(Nevruz)」の焚き木、これにも通じるものがありますよね。
いやいや、興味深いです!

このフドゥレルレスのお祝い、トルコの全国で行われているという程のものではなく、トラキア地方やエーゲ海地方、そしてイスタンブルとその近辺というほんの一部のものだと思います。

ところで、元トラキア地方住人の私。(1997~2000年までゲリボルに住んでいました)
当時は、地元の友人達と一緒に、毎年このフドゥレルレスをお祝いしていたんですよね。
前日には、風(フズル)の通り道と言われる海岸の緑地に行って願をかけて、バラの小枝に短冊をくくりつけたり。また、夜には、皆で火を焚いたりして。
最初は意味もわからず、ただ友人達のマネをしていただけなんですけれど、2年目からは意味もわかり、楽しく参加していました。あぁ、懐かしい~。
一度、紙に「赤いフェラーリ」の絵を書いて、バラの枝にくくりつけたんですけれど、あの願はどうなったのでしょう。(爆!)


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by yokocan21 | 2010-05-10 19:27 | 普段生活  

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