チー・キョフテへの思い

大好きな〝チー・キョフテ(Çiğ köfte)〟について、ちょっと思うこと。
ディヤルバクルにいた頃は、街を歩けばチー・キョフテを売っているお店にしょちゅう出会っていたんですけれど、ここイスタンブルは、そんなことはありません。まぁ、そりゃぁそうでしょう。ここはチー・キョフテの本場ではないですから。
それでも、繁華街などでは、チー・キョフテの専門店が何軒かあったり、ショッピング・モールの中にも専門店があったり。勿論、ケバブ屋さんに行けば大概はチー・キョフテがあります。うちの近くにも、チー・キョフテの専門店があります。
ところがです。私の住むカドゥキョイ(kadıköy)という区では、チー・キョフテの真骨頂とでもいうべき『生肉』、その生肉を使っていないものが売られているんです。どういうこと~?

お店の人に聞くと、生肉を使うのは衛生上好ましくないとか、作り置きすると痛むのが早いとか、そういうことを問題視して、行政が禁止しているんだそうです。
ですので、カドゥキョイ区にある専門店で見かけるチー・キョフテは、「肉なしチー・キョフテ」。 (ケバブ屋さんでは、作りたての「肉有りチー・キョフテ」が出て来ますよ)

この「肉なしチー・キョフテ(Etsiz Çiğ köfte)」、お店によっては、肉有りのものと変わらない美味しさを出しているところもあるんですけれど、だいたいが納得のいかない代物.....。
うちの近所のデリカテッセンのが一番美味しいんですけれど、なかなか需要がないのか、最近は見かけることがなくなってしまいました。あぁ.....。

ディヤルバクルでは、ちょっと食べたくなった時には、お持ち帰りやデリバリーのサービスがあって、とっても気軽に美味しい「肉有り」チー・キョフテが食べられたんですけれど、今は、そんなこと、夢のよう。
美味しいチー・キョフテが食べたくなったら、わざわざケバブ屋さんにまで出かけていかなくては。もしくは、カドゥキョイ区以外の「肉有り」を売っている地区へわざわざ出掛けて行かなくては。

あぁ、手軽にチー・キョフテが食べられていたディヤルバクルが恋しいです。

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※写真は、南東部のカフラマンマラシュ(Kahramanmaraş)出身の、ダンナの知り合いの方が作って下さったチー・キョフテ。ご実家の自家製のトマトペーストと赤唐辛子ペーストが入っています。一番右端のものは、特別に辛いもの。


ところで、ウンチクいっちゃいます。
チー・キョフテの成り立ち」。今まで何故か書くのを忘れていました。チー・キョフテは、何度も何度も登場しているというのに。

時は、預言者・イブラヒム(アブラハム)が生きた時代。
イスラム教ではイブラヒム生誕の地とされている、ウルファ(Urfa・正確にはシャンルウルファ)でのこと。
イブラヒムは、時の暴君・領主ネムルートや民衆が信仰する偶像崇拝を嫌い、次々とそれらを破壊していました。一神のみを崇拝するものだと主張するイブラヒムに、領主ネムルートは怒り、彼を火焙りの刑に処することを決めます。
そして、火焙りに使うための薪を町中から全て集めるという令を発します。
そんな時、ウルファに住むある狩人が、ガゼルを仕留めて家に帰ってきます。
ところが、料理に使う薪が、家の中はおろか町中から姿を消してしまっています。ガゼル肉をどうして料理したものか。
狩人の奥さんは考えた挙句、ガゼルの腿の脂身のない部位を切り取り、石の上に乗せ、もう一つの石でその肉を潰し始めます。挽かれた肉に、ブルグルと唐辛子、塩を混ぜ、捏ねます。青ネギとパセリも加えます。
こうして、ウルファの町でチー・キョフテが生まれたということです。
(シャンルウルファ県発行の年鑑を参照しました)

その後のイブラヒムの伝説は、こちらの記事に書いております。
ただ、この伝説って、あくまでも伝説なわけで。当時の領主ネムルートがいたのは、コンマゲネ王国時代のはずですけれど、イブラヒムがいたと言われている時代(紀元前20世紀頃)とは、あまりにもかけ離れているんですよね。


そして、遅れましたけれど、チー・キョフテってどんな食べ物?
直訳して、「生の肉団子」。
チー・キョフテ用に特別に挽いてもらった挽き肉、ブルグル(挽き割り小麦)、トマトペースト、赤唐辛子ペースト、玉ねぎの摩り下ろし、ニンニク、パセリ、コショウ、それにイソットというウルファ特産の赤唐辛子粉末などを捏ねて作ります。小1時間、捏ねるでしょうか。かなり力のいる作業。
ウルファやディヤルバクルなど地元の家庭では、大きな塊をデーンとテーブルに置いて、各自すくって食べるというワイルドなこともあるんですけれど、お店では、一握りサイズで出て来ます。
ラワシュという薄いナンのような生地に包んだり、ロメインレタスに包んだり。そのとき、パセリや青ネギ、ルッコラ、ミントの葉も一緒に包み、レモンを絞って食べます。


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これは、ディヤルバクルの市場で売っていた、チー・キョフテ用のタライ。家庭用の小さなものから、業務用のでっかいものまで色々。

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参考として、チー・キョフテを捏ねるの図。


ちなみに、チー・キョフテ関連の記事。
さらーっと説明
チー・キョフテ大会
前菜として
ディヤルバクルでのラマザン時



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by yokocan21 | 2010-04-24 06:15 | トルコ料理  

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